20010年 夏の療育事業 |
◆2010年 夏の療育事業
8月21日〜23日
広島県竹原市方面「ホテル賀茂川荘」
32家族102人
医師 佐野俊二(岡山大学病院心臓血管外科)
笠原真悟(岡山大学病院心臓血管外科)
脇 研自(倉敷中央病院小児科)
看護師 岡山大学病院 4名
倉敷中央病院小児科 2名
ボランティア 11名
今年も、100人を超える参加者での旅行となりました。
今年は、初参加のご家族も多くありました。
「長い入院生活を乗り越え、この旅行に来ていることが信じられない。夏休み、元気で過ごせるだけで十分。それ以上の事を望むのが贅沢で、暑いし、咳がつづいているし…など、理由を付けては一歩を踏み出せずにいた」と言うお母さん。
先生や看護師さんの後押しもあり、勇気を振り絞って、参加して下さいました。
この『一歩を踏み出す勇気』、病児の親なら、皆、葛藤する気持ちですよね。
仲間が集まることで、このような気持ちも共有できる。
これもまた、患者会の良いところではないでしょうか。
楽しく参加できた家族に対し、体調がすぐれず、やむなく参加を断念されるご家族も、毎年数家族はあります。
今年は、残念ながら参加出来なかったご家族より、メッセージが届きました。
このご家族は、重い病状を抱える病児を中心に、毎年、ご家族全員で旅行に参加してくれていました。
守る会の夏の旅行が、ご家族にとって、1年で唯一の家族旅行だったと聞きます。
「ほとんど外へ出ることの出来ない子どもにとって、自然に触れたり、仲間と楽しんだりと、貴重な時間だ」と、親御さんはおっしゃられます。
いつでも参加できる旅行だとも限りません。
毎日毎日子どもは成長していく。
今年の夏休みは、『今』しかないのです。
この旅行は、先生や、看護師さんそして、会員同士の支えや協力があって、安心して参加できる行事になっています。
皆さんの、一歩を踏み出す勇気につながり、また、ご家族皆さんの、夏の大切な思い出の一つにしたいと続いている旅行です。
2泊3日の旅行は、どうしても、平日に日程がかかってしまうため、お仕事に忙しいお父さんをお留守番に残し、お母さんとお子さんのみで参加される方も少なくありません。
今年は、お母さん1人で、病児1人と、3人の兄弟姉妹の、計4人のお子さんを連れて参加して下さった方もありました(^^)
兄弟姉妹にとっても、大切な旅行になっています。
いつも、病児に気を遣い、おとなしい兄弟姉妹たちが、のびのびとはしゃぐ姿に、親はホッとします。
家では、見せないような笑顔も、この旅行の中で、見えることもありました。
自分の家族である幼い病児だけでなく、他の病児と接することもできた兄弟姉妹の中には、
「みんな違っていた。病児のできること、できないことや、気持ちなんかがわかったのが嬉しかった。」
そう率直に家族に伝えた子もいたそうです。
『みんな違って、みんな良い。』そんな事を感じてくれたんですね。
兄弟姉妹の心の成長も、改めて感じることのできる旅行です。
1日目
バス2台を貸し切り、2泊3日の旅行の始まりです。
座位保持が難しい子どもさんが、バギーのまま乗れるようなバスをチャーターしました。
ゆとりを持って、昼過ぎの集合。
バスの中では、楽しいレクリエーション。
子どもたちは、1年ぶりに会うお友達や、ボランティアのお兄さん、お姉さん、そして、今年始めて会うお友達とも、すぐに仲良くなります。
親どうしも、久々に会う顔ぶれに、話しがつきません。
バスの中では、ボランティアを中心に、楽しいレクリエーションです。
片道約2時間、「トンネルの数はいくつ?」「到着時間は何時何分?」
そんなクイズも混ぜながら、楽しくあっと言う間の道のりでした。
夕食「守る会の旅行。毎年、こんなにおいしい食事まで食べさせてもらえて、本当にありがたい。」と言うお母さんもおられました。
隣の席に座ったお母さん同士、話しがつきません。
子育てを終えられたお母さんは、小さかった我が子を懐かしむように、若いお母さんと話をしたり、小さな子どもを見守ってくれていました。
夕飯が終わると、親子ふれあいレクリエーションの時間を設けました。
広い宴会場で、大人も子どもも、みんなで楽しく手遊びやゲームをしました。
レクリエーションを専門に勉強された会員さんを中心に、ボランティアのお兄ちゃん、お姉ちゃんが、場を盛り上げてくれました(^^)
親と離れ、自分の身の回りのことができるようになった子どもたちは、「子ども部屋」でボランティアのお兄ちゃん、お姉ちゃん達と一緒に生活します。
子どもたちは、ボランティアのお兄ちゃん、お姉ちゃんが大好きです。
子ども達にとって、家族の目線ではなく、自分たちに接してくれる彼らは、大きな存在となっています。
子どもたちは、夜9時を就寝時間とし、布団に入ります。
集団で生活するルールを知ることも大事な旅行です。
子どもたちが寝静まった後、親は毎年恒例、先生を囲んでの懇親会です。
病院での短い診察時間では聞ききれない心配事も、ここでは相談できてしまいます。
先生からも、たくさんのお話をうかがえました。
最新の医療や、これから未来の医療についてなど。
我々には、子ども達の事を思い、本当に熱心で心強い先生方がついて下さっているのだと、改めて感じる事のできる一時でした。
2日目
毎年恒例、朝のラジオ体操で一日が始まります。
昨晩、興奮し、朝の目覚めの悪い子もいますが、笑顔で「おはよう!!」
続いて、先生に朝の診察をしてもらい、健康チェックです。
病児だけでなく、兄弟姉妹も先生に聴診器をあててもらいます。
入院中の辛かった事を思い出したのか、先生の前に座るのを嫌がり泣き出してしまう病児もいました。
そんな病児を前に、優しいお姉ちゃんが、「大丈夫だよ」と言って、先に診察を受けてくれた後、泣いていた病児も安心して、先生の診察を受けました。
微笑ましい姿でした(^^)
猛暑の今年は、ゆったりとした予定を組みました。
午前中は、涼しいホテルから出ず、クラフト制作を行いました。
子どもたちは、熱中して作品を作り上げました。
昼前には、午後からのおやつをかけての、『菓子食い競争』で盛り上がりました。
皆の笑顔や笑い声が印象的でした(^^)
午後からは、少し足を伸ばして、海水浴や、古い街並みを散策しました。
体調に合わせ、ホテルでのんびり過ごすご家族もありました。
海水浴、竹原の町並み散策、ホテル、いずれの場所にも、先生や、看護師さんが同行して下さり、安心して過ごすことができました。
竹原の町並み散策では、お酒の試飲や、お酒のアイスを食べたりと、大人にも楽しめるコースとなりました。
猛暑のため、早めに散策を切り上げ、ホテルに戻りました。
海水浴チームは、時間が過ぎるのも忘れて、時間一杯楽しみました。
生まれて初めて海に入ることの出来た、小学校高学年の病児もいました。
「海で初めて泳いだ事が一番楽しかったです。海の水は、しょっぱい水だった。」
と子どもらしい率直な感想を聞かせてくれました(^^)
海から帰ると、大きなホテルのお風呂に直行しました。
いくつもの種類のお風呂に、楽しく浸かりました。
初めて大きなお風呂に入る子どもは、楽しくて、あっちにも、こっちにも入ろうと、親を心配させるほど、長風呂をしました(^^)
車椅子や、バギーで、入浴に介助が必要な子ども達は、看護師さんの力を借りて、無事入浴することができました。
夕食を終えると、昨日同様、ふれあいレクリエーションを行いました。
旅行当初から、1日半が経ち、子ども同士も、親同士も、より仲良くなり、楽しくゲームに参加できました。
レクリエーションの最後は、ビンゴゲームです。
広島のお土産や、大きなスイカを目指し、みんなで盛り上がりました。
夜9時。
さすがに2日目の夜は、疲れ果てた子ども達。
海や町での活動は、心地よい疲れを誘ってくれたのでしょうね。
早くに皆寝入ってしまいました(^^)
親は、疲れも忘れて、夜遅くまで懇親会を行いました。
3日目
楽しい旅行も最終日。
朝のラジオ体操、診察と済ませ、宿を後にし、広島空港に向かいます。
広島空港で、大きな飛行機の離着陸に歓声を上げる子ども達。
いつか、あの大きな飛行機に乗って、遠くに旅に出たいですね。
大きなお土産売り場で、思い思いにお土産を購入しました。
可愛い飛行機の模型を手に笑顔の男の子もいました(^^)
帰りのバスでは、別れを惜しむように楽しく遊び続ける子どももいれば、遊び疲れて眠っている子どももいました。
楽しい2泊3日。
夕方無事到着。
それぞれの楽しい思い出を胸に、解散となりました。
この事業は、多くの企業・団体
のご支援を得て成り立っています。
心から感謝申し上げます。ありがとうございました。