2009年 夏の療育事業 |
◆2009年 夏の療育事業
8月22日〜24日
牛窓研修センター「カリヨンハウス」
27家族90人
医師 佐野俊二(岡山大学病院心臓血管外科)
笠原真悟(岡山大学病院心臓血管外科)
新垣義夫(倉敷中央病院小児科)
福 康志(倉敷中央病院循環器科)
看護師 岡山大学病院 4名
倉敷中央病院小児科 2名
ボランティア 10名
皆さん、小学校高学年で行く、「海の学校」「山の学校」の宿泊研修施設の様子をご存じですか?
病児にとって、どんな場所なのでしょう?
どんな生活をするのでしょう?
今回は、そんな体験を知ることのできる海の宿泊施設で2泊3日を過ごしました。
今回は、車椅子のお子さんが3人参加されました。
階段のない施設内の移動を、ボランティアの学生さんを中心に、車椅子を運んでもらったり、病児を背負ってもらったりと大変ではありましたが、マンパワーがあるからこそできる大切な経験だったと思います。
体温調節の難しいお子さんを、先生が診察し、看護師さんが交代で看ても下さいました。
信頼できる先生や、看護師さん達が付き添って下さるからこそ今回の旅行に参加を決意できたご両親もいらっしゃいました。
病児にとっては、体力的に大変な宿泊施設ではありましたが、守る会だからこそできた素晴らしい旅行だったと思います。
1日め
毎年、昼過ぎに集合し、出発します。
皆、楽しみに、続々と集合場所に集まってきます。
バスの中では、ボランティアさんが、元気にレクリエーションをして、旅行の楽しい気分を盛り上げてくれます。
牛窓港より、フェリーに乗り、目の前の島、前島へ到着です。
わずか数分のフェリーですが、「海を渡る」そんな楽しみがありました。
島の中をバスで移動し、施設に到着。
施設のオリエンテーションを聞いたり、自己紹介をしたりした後、広い施設内で、自分の部屋を見つけます。
荷物を置いた子どもから、ストーンアートや、流木クラフトで、記念の品を作りました。
夕飯は、夕暮れの海辺を背に、木陰で、ガーデンバイキング。
おいしい料理で暗くなるまでおしゃべりを楽しみました。
食事の後からの、研修施設のルールに驚くお母さんたち。
自分たちで食事の片づけをし、出されていたテーブルや机も全て皆で協力して片付けます。
部屋に戻ると、2段ベッドに自分の布団を敷き、布団にシーツをかけます。
初めて自分の布団にシーツをかけたと言う子もいました。
日ごろから、家の布団の上げ下ろしを手伝っている小さな子は、自慢げにおばちゃんたちにお手伝いの様子を披露してくれます。
家族以外の大人に褒められるなんて、大きな自信につながったことでしょう。
お風呂の時間も決められています。
子どもたちは、楽しくボランティアのお兄ちゃんお姉ちゃんたちと一緒にお風呂に入りました。
傷のある子もない子も、どんな気持ちでお風呂に入ったかな。
施設では、子どもの手本となるよう、大人もしっかりルールに従いました。
すっかり日が暮れると、木星の輪がはっきり見えるような立派な天体望遠鏡で夜空を観察するために、夜道の広い施設内を皆で歩いて移動しました。
代わる代わる大きな望遠鏡をのぞき、その美しさに感激。
続いて、予め捕獲していただいていた、海ホタルを観察。
神秘的な光を放つ海ホタルを目の前に、歓声があがりました。
海辺に移動し、夜光虫を観察することもできました。
海ホタルと夜光虫、その違いを初めて知った大人も多かったかもしれません。
9時過ぎには、消灯時間。
親と離れられる子どもたちはボランティアのお兄ちゃん、お姉ちゃんたちと一緒に寝ました。
けれども、興奮し、なかなか寝付けません。
明日に備えて、怖いお母さんが監視に向かいます。
入院の経験のある子どもたちは、大部屋での生活を経験し、親の一声で静かに寝ることに慣れているのかな。
それとも、クタクタに疲れていたかな。
怖いお母さんの一声に、スッと大人しく眠りについてくれました。
親は、先生方を囲んでの懇親会。
この旅行は、先生や看護師さんたちにも、病院とは違う日ごろの病児の姿や親の気持ちを知ってもらう貴重な旅行になっています。
今年は、高校生のお姉ちゃん(病児)たちも夜の懇親会に参加し、自分たちの気持ちを話してくれました。
参加者皆が思い思いの話をし、先生に質問したり、先輩のお父さんお母さんたちからアドバイスをもらったりと、毎年、夜遅くまで盛り上がる懇親会です。
2日め
朝の始まりは、ラジオ体操。
毎年のように、前夜なかなか寝付けず、朝の起きられない子どもたち(大人たち)もいます。
夏休みにラジオ体操をしている地域も減り、ラジオ体操を知らない子どもたちもいます。
ボランティアのお兄ちゃんの体操をお手本に、元気に朝の体操!
体操の後は、子どもたちは先生の診察です。
元気な兄弟姉妹も、病児の気持ちを知るために、診察の列に並びます「疲れてないかな?」「昨夜はよく眠れた?」先生が優しく声をかけてくれます。
聴診器を当てられるのに慣れていない小さな兄弟の中には、泣き出してしまう子も。
自分の名前を言って、先生にちゃんと自分の様子を伝えられる病児たちには関心してしまいます。
朝食も半セルフサービス。自分で後片付けします。
少し休憩をして、午前中は元気に海辺に出発です!
まずは、イカダに乗りました。
イカダに乗ったこと、ありますか??
乗っている全員で力を合わせて、海の沖まで繰り出します。
安全のために、病児や子どもと一緒に親やボランティアさんも同じイカダに乗り込みます。
気持ちの良い潮風を感じながら、「イチ、ニッ!イチ、ニッ!」声を掛け合います。
病児も立派にオールを漕ぎ、がんばりました!
めったにできない経験でしたよね♪
イカダが終わると、大人も子どもも皆、海辺で釣りに夢中。
先生方も、釣りの腕前をご披露。
初めて釣りに挑戦する子ども、初めて生きた魚を触った子ども、みんな大はしゃぎ♪
楽しめるだけの魚が釣れ、釣れたての魚は、昼食、夕食で煮つけにしてもらいました。
魚を釣った子の中には「魚、苦手。食べれない〜」と言っていた子もいましたが…自分で釣った魚、食べることができたかな??
小さな子どもたちは、ボランティアのお兄ちゃんたちと、ヤドカリや貝を集めて楽しんでいましたよ。
午後からは、草木染め(絞り染め)を楽しむチームもありました。
色の出る植物の説明を受け、思い思いにハンカチを縛り、草木を煮た汁で、赤色や黄色にハンカチを染めました。
夕方は、日が暮れる前にフェリーに乗り込み、クルージング。
潮風を感じながら、気持ちの良い瀬戸内海の景色を眺め、夕食を楽しみました。
2日めの夜は、疲れが出ないよう、早めに消灯し、子どもたちを寝付かせます。
大人が懇親会で留守にする小さな子どもたちの部屋でも、ボランティアさんが見張りをしていてくれるので、大人たちは、安心して、懇親会で話ができます。
3日め
朝はラジオ体操、先生の診察から始まり、フェリーの時間に合わせて、早々に出発です。
帰りは、黒井山の道の駅で、お土産を買って、昼過ぎには解散となりました。
「年齢もまちまちの100人近くの集団で、これだけ時間正しく予定をこなすなんて、見事だ」と、施設の方からお褒めの言葉ももらいました。 この事業は、多くの企業・団体
のご支援を得て成り立っています。
守る会だからこそ、毎年続けている旅行だからこそ、会員皆が協力しあい、先生や看護師さん、ボランティアさん、多くの方々に支えられているからこそできる旅行なのだと思います。
心から感謝申し上げます。ありがとうございました。